一応、仕事上では有能ということになっているシャオ、本日は取引先に出向いて交渉業務。
契約書を示し、仕様書を示し、こちらの条件を理詰めで説明していく。事前に想定したQAに基づき相手の言い分を粉砕し、結論を自分の側にたぐりよせる。シャオが最も得意とする業務だ。
それにしても今回は上手くハマった。相手はこちらがわざと見せた隙に食いついたと同時に、シャオの鮮やかな返し技にハメられる。全ての条件がシャオの思うまま進んでいくと見えたその時。相手は逆転の一言を口にした。
「シャオさん、
男前の顔でそんなに厳しいことを言わないでくださいよー」
にへらっ(←頬が緩む音)。
………最終妥協線を守り通したことを、直属の係長だけは誉めてくれた。