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2009年 03月 16日
1.銀色の季節~prologue 2.銀色の季節~砂の時計 3.銀色の季節~無形の檻 4.銀色の季節~傷ついた翼 新クラスというのは馴染むのに時間がかかる。 そう説明する女性教師を,薫は他人事のように見ていた。新クラス編成の放課後,窓からは夕日が差し込んできていた。教室の中には6人の男子と同数の女子が居残っている。いずれも,今日のホームルームで「班長」という気の毒な役割を押し付けられたメンツだった。 いいから,早く編成作業に入らせろ。 心の中で毒づきながら薫は担当の教師の顔を見た。今時の中学生が好んでリーダーなんかになるわけがない。「班長」にしても,最初は「民主的」に「立候補による選挙」を提案した教師の思惑ははずれにはずれ,およそ一時間たっても誰も立候補しなかったという体たらく。結局,誰が言い出したのかくじ引きによる問題解決を図り,この12人が生贄として差し出されたわけだ。薫は運悪く当たりクジを引いてしまったのだが,女性側の班長に美幸がいないのをいささかの慰めにしていた。トラウマをもつ身,初日からそれはキツ過ぎる。 男子班長一人,女子班長一人をペアとして男女3人ずつ班員を選ぶ。計8人のグループを今後「班」としてユニット構成し,以って今後の学校生活の行動基礎単位とする…という説明を上の空で薫は聞いていた。普段は「民主教育」「平和教育」と連呼している教師が,いざ自分のクラスの運営となると,途端に軍隊式の序列を持ち込もうとするのは何故なのか。彼らはその辺に矛盾を感じないのだろうかと薫はつくづくと思う。 黙っているのも飽きてきたので,いっそ「班長」じゃなくて「曹長」に名前を変更しませんか,先生は少尉でいいですよと嫌がらせの発言でもしてやろうと口を開こうとしたところ,やっと長広舌に飽きたらしい教師がクラス名簿を取り出したのを見て心の中で薫は言葉を封じる。もう誰でもいいから早く選ばせて帰らせてくれ。 またもや男子の班長と女子の班長の誰と誰がペアになるかを「協議」させられそうになったが,そこはそろそろ下校時間が迫っていることもあり無難にくじ引きで決定した。薫の相手は全く知らない女生徒で,なんの先入観も持ちようがない。いい加減に選んだ男子生徒のリストを見せて相手に確認する。 天然パーマ,細い髪が肩までかかっているのが似合っている細面の女生徒は,自分の名前を「小田和子」と名乗り,薫が選んだ男子リストを見て納得し,和子は女生徒の選択は自分に任せてくれないかと,控えめな調子で薫に頼んできた。 もし,薫が未来を予知する力を持っていたら,いや,少なくとも和子の友人関係を知っていたら,答えは違ったかもしれない。だが,あいにく薫にはどちらもなかった。つまりは「いいよ。好きにしてもらって」という極めて常識的な台詞が口にしてしまったのだ。 そして和子は真っ先に指名した。 「じゃあ,まず,坂上美幸さんを」 そして,翌日。見事に気まずそうな顔が二つあった。ひとつは言うまでもなく薫であり,そして勿論美幸だった。新しい班を発表した教師は得意げに「この班で,少なくとも6月末にある修学旅行終了までは行動する」と宣言し,その気まずさはさらに陰鬱なものになった。マジですかという思いは二人ともあり,そして出来るだけ隣を見ないようにすることで運命にささやかな抵抗をしている。そう,同じ班だけならともかく,席まで隣同士になったのだ。 どうも意地悪な女神だか気のいい悪魔だかは,クジ運というのものを自由に操れるらしい,と埒もないことを薫は考えていた。 (続く)
by shaonanz
| 2009-03-16 21:27
| 弥生 薫
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